女性ロールモデルインタビュー

株式会社日立ハイテクマニファクチャ&サービス

ダイバーシティ推進グループ 専門部長 漆原 幸恵さん

プロフィール・経歴

1992年(株)日立製作所に入社。複数のグループ企業で人事労務等を担当し、2018年に株式会社日立ハイテクマニファクチャ&サービスに出向。2021年からダイバーシティ推進グループの部長代理に、2023年から同専門部長に就任。

総合職への転換、ダイバーシティ推進を担う専門部長に

 入社した当初は主にハードディスクを製造する事業部で工場の工程管理などに従事していました。その後工場長秘書の後任として総務部門に異動となり、複数の事業所への転勤を経ながら人事労務を主に担当していました。
 入社から10年近く経って、2001年に上長より基幹職から総合職への転換を打診され総合職に。2018年からは現在の日立ハイテクマニファクチャ&サービスに出向となり、コンプライアンス遵法や採用教育の担当を経て、2021年から部長代理として採用教育業務のほかにダイバーシティ推進グループの兼務を開始、2023年から専門部長という役職に就任しています。

昇進への葛藤とめざしたい姿との出会い

 私が総合職になった当時は総合職の女性は限られており、入社当初には想定していなかったキャリアへの挑戦でした。時代が変わり、会社としても女性活躍を進めるというときに総合職へのチャレンジ制度ができまして、事業所の第一号としてやってみないかと言われたのです。ただ、自分自身で考えて動くことが求められますし、当時は夜遅くまで働いているイコール頑張っていて偉いという雰囲気がまだあり、そんな風に働けるのだろうかという思いがありました。
 しかし、最初に配属された事業所で、転換制度も何もないときに自分で総合職になりたいと手を挙げた女性の先輩がいらっしゃって、その方に相談し背中を押していただいたことでやってみようと思うことができました。仕事は大変になりましたが、挑戦してみて世界は広がりました。
 また、キャリアの大きな転機としては、2010年に主任に打診されたときも悩みました。出向して全く新しい環境に入るタイミングであるということと、管理職ではないとはいえチームをまとめる立場となって他部署との調整も行うようになりますが、先輩である男性の主任の方々が自分の弱みを出さずにキチっと業務をこなしているように見えて、自分も同じようにできるのかと不安に思えたので。
 ここでも身近なロールモデルの方が決断の参考となりました。そのお話がある少し前に女性の主任の方と働く機会があったのですが、その方はいい意味で肩の力を抜いて、抱え込みすぎずに働くスタイルだったので、どこまでその方みたいにできるか分からないけれどこういうスタイルだったら私でもできるかもしれないと考えられました。
 3年前に部長代理の打診を受けたときは、責任こそ重くはなりますが業務範囲が大きく変わらなかったことと、自分がダイバーシティを推進する立場でもあったのでそれほど抵抗はなかったです。

経験を積む機会を設け、女性の育成を

 幸いなことに私は身近なロールモデルに恵まれましたが、ダイバーシティ推進グループとして女性活躍推進に取り組むうえで、女性管理職のロールモデルが傍にいない方が多いことが課題と考えています。最初は女性社員と男性の幹部の方が話すことから始めましたが、最近は少しずつ主任クラスや職場の製造部門のリーダーを担う女性が増えてきたので、そういった方との会話を通してキャリアアップを前向きに捉えられるような機会を設けています。
 あとは私自身も体験したことですが、役職に就くまで人前でプレゼンをするような機会がほとんど無かったので、女性社員に自信をつけてもらうための取り組みを行いました。具体的には、特定のテーマについてグループに分かれて議論を重ね、幹部の前で提案内容を発表するということを行っています。
 職場によってはパソコンを使い慣れていない方もいますが、チームをまとめる立場に立ってもらうためにも経験を積むことができるよう心がけています。
 そのほか働きがいに繋がるようなエンゲージメント向上、コミュニケーション活性化などにも取り組んでいます。例えば、事業所によっては食堂が無かったり、休憩エリアが限られたりといった環境の制限があります。
 そこで、オープンオフィスデイと称し、事業所内の芝生にタープを張って、コーヒーなどの飲み物を提供し、打合せを行ったり休憩したりできるエリアを設置するイベントを行いました。社内からは好評で、次はいつやるの?と聞かれたりもします。
 チームで目的をひとつにして、ダイバーシティ推進のための施策で社員の皆さんに喜んでもらえた時は、やってよかったなと思えます。

女性リーダー育成に必要なのは”自信”

 女性のリーダーを育てるために企業として必要な取り組みは、自信を付けさせることと考えています。女性は自己肯定感が低い傾向があって、私なんて……というところから入る人が多いんです。
 また、女性管理職という特別感がまだある分、周りの見る目が厳しいことがありますね。実力で昇格したのではないという見られ方をされてしまう場合があります。そういった点からも自信を付けてあげるのが大事なところですね。

管理職を目指そうとしている女性へのメッセージ

 今後、あなたに管理職への昇進を勧めてくれる方は、あなたの仕事ぶりをちゃんと見てくれて、大丈夫だろうと思って勧めてくださるのだと思うので、不安があったとしてもチャンスがあるならばトライしてほしいです。管理職に勧めてくださる方も、これまで仕事で関わってきた方も、きっと応援して助けてくれると思います。
(2024年10月取材)