女性ロールモデルインタビュー

株式会社八千代商事

取締役副社長 福地 美喜さん

プロフィール・経歴

1976年生まれ・東京都出身。
法政大学社会学部卒。国会議員事務所へ勤務。
夫が家業を引き継ぐことになり2006年より日立市へ移住。
小学生から高校生の1男3女の母。

八千代商事での業務

 八千代商事は、1966年に夫の祖父である福地正夫が創業しました。木材と住宅資材を地元工務店や大手のハウスメーカーへ販売しています。2013年に夫が父から事業承継し代表取締役に就任して現在に至ります。
 私たちが会社に従事した頃から、取引先の高齢化や廃業が続いて売上が徐々に下がっていることにずっと危機感を持っていました。新規顧客の開拓、また新規事業をしていかなければいけないという焦燥感に駆られながら、夫も経営者として本事業に追われ、私も少しだけ経理を手伝いながら子育てに追われ日々が過ぎていきました。
 東京から日立市へ移住し、最初は知り合いは夫の親族と会社の社員さんだけでしたが、4人の子どもたちが地域の人たちに出会うきっかけを作ってくれ、たくさんの方々に支えられてきました。移住して10数年経過し、大好きな人たちが増えてきたこの地域に自分の残りの人生を何らかの形で貢献していきたいという思いも芽生えてきました。

転機となったビジネスコンテストへの挑戦

新社屋建設中につき、某ビルをお借りし、 木材と緑に囲まれた 心地よいオフィスを作りました

 一番下の子が4歳になったのをきっかけに、会社の課題解決をすべく、まずは社内の経理業務から一歩外に出て地域で活躍されているプレーヤーさんとのコネクションづくりをしたいと思ったのが3年前です。2022年には県北地域で新規事業を考えるビジネスコンテスト(県北ビジネスチャレンジプログラム)に参加し、新規事業を創出するプロジェクトのチームリーダーとなり、近隣の製造業など様々な業種の方と繋がっていきました。このプログラムで半年間の挑戦を経て、最終報告会では「チーム八千代商事」は県知事賞を受賞しました。

 弊社は今、創業以来の大きな挑戦として、創業当時から使ってきた社屋を解体し、2025年に新社屋を建設予定です。この新社屋は従来の事業のオフィスは2階の一部屋だけで、他の空間は地域の異業種の方々と活発にディスカッションしたり、地域の方々が集えるような場を設計しています。社屋は茨城県産材を使った木造建築で、社員や訪れた人が気持ちが良いと感じてくれるような空間にしています。

働く(働きたい)女性へのメッセージ

 女性が結婚後も社会で活躍するためにはパートナーのマインドセットが必須だと思います。家事・育児は女性の仕事だと思っている男性がまだ多いと感じているからです。家事や育児を夫が同等に担い、女性の働く時間が増えれば世帯の収入も全体的に上がりますし、夫が一人で家計を支える精神的な負担も減り、結果的に夫婦にとって良いことだと思います。
 企業側も女性の活用に積極的に取り組むことにより、社内の男女比を変えていき働く女性をもっと増やしていくべきと考えています。4人の子育てを通じ、たくさんの地域のママさんも見てきました。これまでのキャリアを積んできたにも関わらず、結婚や出産を機に退職し、いざ子育てが落ち着いて働こうと思っても、再出発になかなか踏み出せない女性や、今までのキャリアが活かされない職種に就いている女性がたくさんいます。
 優秀で素敵な女性が地域にたくさんいるのに、本当にもったいないと感じています。こうした女性達が再び地域社会で生き生きと働くようになったら、地域はもっと明るく元気なものになると思います。
 弊社も新社屋の竣工後は女性の雇用に力を入れ、女性を積極的に採用していこうと考えています。女性の活躍という地域の課題に取り組む姿を地域の中小企業へと波及させていきたいと思います。

2024年8月取材