執行役員 経営企画室 部長 伊藤 有子さん
プロフィール・経歴
社会人となり輸入卸をしている都内のアパレルメーカーに就職しましたが、子育てをしながら働く中で、家庭と両立できる働き方をしたいと思いました。退職して地元茨城に戻り仕事を探していたところ、(株)諸岡で海外営業部のアシスタントを募集していて応募したのが当社で働き始めたきっかけです。海外営業部で勤務した後、国内営業部や生産管理部などを経て、5年前から現在の経営企画室に勤務しています。中期経営計画や予算管理など会社全体の経営に携わりながら、社内で課題となっていることなどを支援しています。
初めて管理職になったのは、10年前に海外営業部の課長に就任した時です。海外営業部には入社以来10年間在籍しましたが、当時、私はアシスタント業務をしながら営業の業務も兼務していて、後から入ってきた男性社員が昇進していくのを見ながら働いていましたので、課長職を打診された時は、やっときたかというのが正直な気持ちでした。長くかかりましたが評価してもらえ、やってやるぞという気持ちで引き受けてしまい、管理職になることでどのような責任を負うのか、家庭との両立でどのような問題が起きるのかなどは考えていませんでした。ただ、あまり考えているとものごとは進まないので、この時、考えすぎずに前に進んだことが私の人生のターニングポイントになったのかなと思います。
今まで働いてきたなかで、最も苦労したのは、仕事そのものよりも「会社の風土」を変えていくことでした。当社のような建設機械の製造をしている業界はもともと男性が多いこともあり、女性である自分に情報が入ってこないことや、自分が知らないところで男性だけでものごとが決まってしまうことが何度もありました。そのことで、時には上司と口論になることもありましたが、黙っていたら、そのままになってしまい、こちらが公平でないと感じていることをわかってもらえないので、やはり声は上げるべきだと思います。声を上げることで、抜本的ではないけれど少しずつ会社全体が変わっていったと思います。
私自身も声を上げたからには、きちんと結果を出しながら認めていってもらいました。言うからには責任も伴いますので、会社に貢献するという気概がないとできないと思います。私は改善したほうがよいと思うことは、曲げずに発信するというスタンスで常にいます。
ものを作り上げる当社の仕事にはやりがいを感じていましたが、初めて飛び込んだ業界でしたので、わからないことが多く苦労しました。例えば、海外営業部で自社製品のアフターサポートやクレーム対応することがあり、技術的なことを調べたり、製品に詳しい技術担当に1日中つきっきりで話を聞いたこともありました。自分が理解できなければ、お客様に説明し納得いただくことはできませんので、製品(機械)について理解するための苦労はかなりしたと思います。その一方で、対応したお客様から「あなたが言うのなら間違いない」と言っていただけた時は本当にうれしくて、営業の仕事をするうえで一番の醍醐味です。
仕事をするうえでは、信念を持つことと、始める前に自分の中で目標を設定することが大事です。目標がないとやり遂げることができませんし、また、達成したいという気持ちがやりがいにつながるのではないかと思います。目標があるからこそ、そこにどのように向かっていこうと考えるのであって、こうしたいという目標がないと岐路に立った時にも判断ができないと思います。
私は、自分が今まで常識だと思っていることが、この先もずっと同じだと思わないように伝えています。一方で、自分が非常識だと思っていることでも、ある日、それが常識になることもあるとも考えています。だから、あまり物事に固執しないで、自分がいいと思うことをやろうと言っています。レールがしかれているわけではないので、自分の責任で一つひとつ選択しながら生きていく姿を見せられればと思っています。
今はすごい激動の時代で、多分100年後ぐらいに、あの時から大きく変わったと言われるような時代ではないかと思います。私もいずれリタイヤしていくわけですが、これからの世代に何かを押し付けるような終わり方はしたくないと思います。将来、世代交代するときに、次の人たちが夢を持てるような会社、社会に貢献できるような人でありたいと思っています。