女性ロールモデルインタビュー

株式会社サンテ

専務取締役 鈴木 宇子さん

プロフィール・経歴

結城市出身。大学卒業後に就職した会社を、出産を機に退職。専業主婦として3人の子育てを経験したあと、1993年に株式会社サンテにパート薬剤師として入社。翌年、正社員となり、2012年に現職に就任。現在勤続33年目となる。

これまでのキャリア

 茨城県で生まれ育ち、大学進学を機に東京へ出て薬剤師の資格を取りました。大学卒業後、あえて、薬剤師ではなく、都内の臨床検査の会社から社会人をスタートさせました。
 25歳で結婚出産しましたが、当時は、育休がなかったので、復帰するなら出産後2カ月で戻ることが必要でした。女性は、結婚退職あるいは出産を機に退職することが一般的な時代でした。
 私の母は教員として忙しく働いており、そんな母を尊敬する一方、子供心に母が家にいる家庭へのあこがれもあり、3歳までは自分の手で育てたいという気持ちも強かったため、第1子の出産を機に退職し、夫の転勤とともに県外へ転居し、専業主婦として約10年間3人の子育てに奮闘しました。
 その後、夫の転職もあり、より良い子育て環境を求めて、自然豊かな環境で子育てできる幼稚園があり、実家の近くでもある結城市に家族全員で転居しました。
 私自身は、一番下の子の幼稚園入園のタイミングで再び仕事をしたいと考え、仕事を探し始めました。そんな中、自宅近くのこの会社に出会い、1日4時間×週3回のパート薬剤師として働き始めました。薬剤師未経験で何もわからない中でのスタートです。
 株式会社サンテは結城市に母体がある調剤薬局として1993年に設立されました。「人を大事にする心」の考えのもと、地域の健康を守る医療の担い手として「安心」「信頼」をお届けすべく、順次事業を拡大し、サンテグループとして在宅医療、訪問介護、グループホームなどの事業を展開しています。
 会社設立時、縁あってパート薬剤師として入社し、2年目に、主人が資格取得のために学生になることになり、絶好のチャンスと、実父母の協力を得てフルタイムの正社員になりました。
 現在は、専務取締役を務め、採用から、人材育成、社員が働く上での困りごとを解決するための働き方改革を行っています。
 育児や介護など様々な事情があっても働きつづけられる、あるいは復職できるような仕組みを作り、皆が働きやすくなりパフォーマンスが上がることが会社への貢献につながると考えています。

印象に残っている仕事

 幼稚園の役員をした際に、文書作成ソフトと計算ソフトを教えてもらう機会がありました。その時の経験が役に立ち、就職後、手計算をしていた経理課の仕事に関わることになり、在庫管理ソフトの社内活用を率先して進めました。自分の興味で自分がやりたいことをやった結果、みながその便利さを分かってくれて、だんだん頼りにされるような場面も出てきた。これが、今の自分につながっています。
 35歳の再出発で、若い方のようにすぐには覚えられず、迷惑をかけました。「これだからおばさんは嫌よね」ときつーい一言もありました。忙しい現場ではすぐに結論を出したがりますが、習得の速度はひとそれぞれ。この時の言葉を忘れず、目先のことにとらわれず、長い目で人を育てていきたいと思うのです。これには、初めて就職した23歳からの2年間、20代、30代、50代のパートさんに助けられながら仕事をしてきた経験が活かされています。
 自分の希望というよりは、女性が生きていくうえで資格があったほうがいいだろうという家族の勧めで薬剤師の資格を取ったので、仕事に対する明確なビジョンは全くなかったです。でもやってみると、「薬剤師は、思ったよりもずっと面白くやりがいのある仕事」でした。
 薬局のカウンターに立つと、患者様が「ありがとう」と言ってくださいます。お金をいただいてありがとうと言ってもらえる業種があることは、本当に衝撃でした。

ワーク・ライフ・バランスとは

 実を言えば、私の中にワーク・ライフ・バランスという単語は、60歳くらいまで存在しませんでした。多分仕事が好きなんです。鈴木にはアクセルはあってもブレーキがないとよく社長から言われます。
 考え方が大きく変わったきっかけは、4年前の主人の介護です。仕事中心の生活から、家族との時間を大切にする生活に変わりました。入院していた病院から主人を自宅に連れて帰り、自宅で看取ったのですが、亡くなる前の2週間は在宅で仕事をさせていただきました。
 これを機に、働き方の考えが変わりましたね。ワークとライフは車の両輪のようなものだから、どちらかに偏ると車も曲がっていきますよね。長時間の仕事と良い仕事はイコールではない。長く働いてがんばった気になるのは自己満足かもしれないと気づきました。介護のためにどうしてもお休みをもらう回数が増えるので、やることを見直したりやり方を変えたり、仕事の棚卸をしました。コロナ禍によりWEB会議の環境が充実したことも後押しをしてくれました。
 もうひとつ、働き方改革で社員のワーク・ライフ・バランスが変化しているのを感じていました。自分が公私ともに充実していないと、次に役員を引き受けてくれる社員が現れないかもしれないと思い、機会があるごとにプライベートの充実をアピールするようにしています。今は、良いバランスで両立できています。

仕事は自分が自分でいることの証のようなもの

 私にとって仕事とは、存在感や時間も含めて、私のかなりの部分を占めています。自分が自分でいることの証(あかし)みたいなものですね。つい夢中になってしまうので、ワーク・ライフ・バランスを考えて、楽しんでもう少し仕事を続けたいですね。会社に必要とされているうちは今の会社で仕事を続けたいと考えています。
 60歳を過ぎてから、もともとの趣味のゴルフに加えてテニスとアルトサックス、50年ぶりのピアノを始めました。仕事の充実感も大事ですが、季節の変化を感じられる心のゆとりや心の栄養も大切にしています。人生100年時代といわれていますが、年齢を重ねると、誰でも身体が変わってきます。理解力や気力の面でも。そんな中でどうやって仕事をしていくか考えますね。お金も必要ですが心の栄養もないと枯れてしまいますからね(笑)。

今後挑戦したいこと

 命って預かりものだと思います。病気や事故など、思わぬ出来事で、同じ年代やより若い年代の方が、志し半ばでこの世を去っていくことがあります。私自身は定年と言われる年齢を超えて、自分が生かされていることの意味を考えるようになりました。子育て中、そして社会人復帰後、周りから何をしてもらえるかを考えながら走り続けて来た様に思いますが、今は、生かされている自分に何かできることは無いのかを探しています。社会奉仕活動もその一つです。アクセルを踏める間は前進していきたいですね。

働く女性への一言メッセージ

 女性は、ライフステージの変化で否応なく働き方を変えざるを得なくなります。その時々で自分の中の優先順位を組み替えて、納得のいく選択をしてください。もし迷ったら、「できないかもしれない」ではなく「どうしたらできるだろうか」と前へ進むことを考えていただけたらと思います。輝くのは、誰かのためではなく、自分のため。そして輝いているあなたの周りには輝く方たちが集まってきます。
 もしやりたいことがあって、何か事情があって我慢しなきゃいけなくなったときに、それをマイナスに判断しないでほしい。今じゃない、今じゃないんだなって、ポジティブに考えてみてください。やれるときは、必ず後からもう1回来たりする。だからその時は今度こそって思って、思い切り挑戦して欲しいです。
2025年12月取材