スガノ農機株式会社
製造本部 購買部 調達課長兼生産管理課長 中野 寿美香さん
プロフィール・経歴
茨城県出身。2014年スガノ農機株式会社に入社。研修期間終了後、「社長直轄」という新設部署に約1年間配属。その後、塗装・組立や財務経理などの業務経験を積む。2019年に現所属(生産管理課)の係長(2022年7月~調達課の係長を兼務)となり、2022年12月から現職に就任。
入社から現役職に至るまでの経緯
幼少期から自然に囲まれた環境で過ごしてきた経験や、生き物・植物が好きだったことから、大学の農業系学部に進学し、農業業界での就職を希望している中で当社を見つけました。会社として、女性の新卒採用を本格的に始めようということで新しいことにチャレンジ出来ると感じて応募しました。
当社は、農機具の製造・販売を通じて、日本農業のソリューションに取り組む会社であり、主力製品の一つであるプラウ(=トラクターに装着して土を耕す鋤(すき))は大きなもので全長6メートルにもなります。
採用されて研修期間が明けると、1年ほど社長直轄という当時新設の部署へ配属となり、これまでいなかった女性営業を目指すために全国の営業所へ派遣され、各地で営業経験を積みました。トラックを運転し、製品を載せてお客様のもとへ納品や実演に行く刺激的な日々でした。
次に、メーカーとして工場について学ぶ機会として、半年間工場の組立係へ配属となりました。これまでお客様へ届けていた製品を工場の方がどのような思いで日々生産しているのか身をもって経験する事ができ、より愛着を持ったことを覚えています。
その後、経理への異動の打診があり、管理業務にも興味があったので引き受け、3年半、支払管理や仕訳業務を行いました。
その時に、製造原価に関わるプロジェクトに参加させていただいたことをきっかけに、生産管理課へ異動となり、これまで経験してきたことを踏まえて、製造メーカーとして利益の根幹になる生産に関わることとなりました。その後、1年半後に調達課を兼務することになり、今に至ります。
当社では私のように、若い世代はひとつの部署に留まるのではなく、色々な部署へ配属となり様々な職場を経験することができます。
色んな立場から物事を見ることや、相手の立場や考えを理解することができます。
管理職となって苦労したこと、やりがいを感じたこと
管理職になったことで、自部署のことだけでなく工場・会社全体を考えた判断をしなくてはいけなくなったと感じています。営業からの依頼で追加生産や日程変更の依頼があった時も、その先に農家の方がいることを想像します。その上で、会社から任されている予算の中で、特に大きな部分を占める材料費をコントロールすることが会社の利益に直結することを意識しつつ、工場で働く人たちが効率よく生産できるよう、メンバーと協議しながら日々計画を立てる必要があります。当たり前のことですが、配慮する先が増えたことでもどかしい気持ちになることが多々あります。
それでも営業からの生産要望を受け、生産管理課・調達課一丸となって、工場現場の方や仕入先の企業と納期調整を行い、それでも希望納期に間に合わない場合は、他に代替案がないか上司や他部署のアドバイスをいただき、なんとか生産してお客様へ製品を届けることができたときは達成感を感じます。
生産管理課・調達課では、総勢9名のうち7名が女性という部署です。現場での作業は多くありませんが、工場の方々に生産調整や指示を出すためには、男女関係なく現場の仕事を理解する必要があると思います。わからないことは曖昧にせず、現場に赴き、現地で実際にやって経験を得るということも心がけ、毎日勉強の日々を過ごしています。
管理職として働くうえで支えとなったこと
管理職になる前から同期や後輩の存在が支えになっています。自部署に限らず各部署に女性の管理職が在籍していて、何か困ったことがあれば相談し助けてもらったり、何か依頼を受けて答えることが出来た時に感謝されると自分の自信に繋がったり、お互いに支え合えていると感じます。
私自身が器用なタイプではなく、真面目にやりすぎてしまうので、コミュニケーション面で助けてもらうことが多く、本当に頼りになる方ばかりで尊敬しています。
また、上司にも相談しやすい環境であるため、自分もそうなりたいと考えています。
以前は休日も仕事のことを考えてしまう時期もあったのですが、コロナ禍をきっかけに心境の変化があり、プライベートタイムをしっかり取得することで平日頑張ることができると感じ、積極的に休みを取ることにしています。
企業が女性管理職の登用を推進する上で、重要(必要)だと思うこと
女性社員に関わらず、社員全員が使命感をもって自分事と考えて働きたくなる職場作りが必要だと思います。
性別を問わず、自分の意見を言うことができ、聞いてもらえる風土が大切なのではないでしょうか。
また、女性の育成・登用に合わせて、育休制度の拡充や、女性用休憩室の設置、女性用トイレの増設など、職場環境も良くなってきていると感じています。
管理職をめざそうとしている女性へのメッセージ
私のように自信がない方もいると思いますが、何事も自分だけで解決しようとせず、メンバーや周囲と一緒に取り組むといいと思います。
まずは考え過ぎずにやってみるということも大切かもしれません。
2025年8月取材