女性ロールモデルインタビュー

株式会社MVサービス

代表取締役 松橋 裕子さん

プロフィール・経歴

静岡県三島市出身。夫はサラリーマン、娘は大学生、息子は社会人。株式会社MVサービス代表取締役、一般社団法人わくわく人生デザインラボ代表理事としてビル管理やレンタルオフィス運営を行うほか、イベントプロデューサー、女性起業家コンサルタント、婚活教育コーチ、テニスコーチ、ライフコーチなど、多彩な活動を展開。公職も茨城県商工会議所女性会連合会長をはじめ、20以上に携わる。

キャリアのスタートは洋菓子店から

 学生時代に洋菓子のフランチャイズ店でアルバイトを始めました。売り子からスタートしましたが、次第に発注や店の開け閉めまで任されるようになり、その頃から店舗の経営状況を把握しながら働いていました。やがてオーナーが店を売却することになったため、家族の協力を得て居ぬきで購入し、20歳で店のオーナーとなりました。現在その店はありませんが、物が売れる仕組みや接客業、経営者と雇用される側の思考の違いを学ぶ貴重な経験となりました。
 実家はサラリーマン家庭でしたが、両親は生活費を補うために副業として英会話教室と書道教室を営んでいた時期がありました。そうした環境の影響もあり、両親は私の自営業のスタートを後押ししてくれました。理解とサポートがあったおかげで、私は一歩踏み出すことができました。
 高校時代の友人たちは自営業の家庭が多く、田舎の美容室にもかかわらず繁盛していた友人の母から「二流・三流ではなく一流を知ることが大切」と教えられたことがありました。この言葉が心に残り、物事を見極める目を養うようになりました。
 また、この頃に母が婦人会を通じて青年会議所(JC)の存在を知り、「経営者としてのつながりを持った方がよいのでは」と助言してくれたおかげで、地元の青年会議所に入会しました。そこで、経営の在り方だけでなく、ひとづくり、まちづくりを学び、貴重な体験を得ることができました。

テニスがつなぐ人脈

 母がテニス好きだった影響で、幼少期からテニスを習い始めました。私は人に教えることが好きで、中学生の頃からテニスコーチを志していました。テニスを通じて人間関係やチームワークの大切さを学び、それが後の人脈づくりにもつながっていると感じています。
 大きな転機は、25歳の時に静岡県代表として出場した朝日(全国)レディーステニス大会で準優勝したことです。その大会での活躍を見ていた人物から声をかけられ、アメリカ・ニューヨークで駐在員向けのテニススクールにコーチ兼マネージャーとして招かれることになりました。約2年半の滞在中、時間の使い方や働き方、投資、リタイアの概念など、多くのことを学びました。
 帰国後は、結婚・出産を機に茨城へ移住し、知り合いのいない環境でゼロからのスタートとなりました。一時専業主婦となりましたが、自閉症の息子を育てながら保険の営業や農家の手伝い、行政書士補助者などを経験していく中で人脈を広げ、テニスコーチも再開しました。テニスの生徒の紹介でビルのオーナーとつながり、そのビルを拠点に水戸市で初めてのシェアオフィス(株式会社MVサービス)を立ち上げました。現在は会議室やセミナールームの貸し出しも行っています。
 この事業を始めたきっかけは、多くの人と出会い、「人」という財産を子どもたちにも残せると考えたからです。最初は、学びのある人を招いてセミナールームでイベントを企画・運営し、シェアオフィスの存在を広めることからスタートしました。イベントの企画からPR・集客まで一人で行い、広告費は一切かけずSNSのみで運営していました。

将来の夢

 現在は農業委員としての活動を通じて自給自足に興味を持ち、少しずつ農業を始めています。将来的には顧問としてさまざまな人をサポートしながら、世界を旅しテニスの大会にも出場し、自給自足も楽しみたいと思っています。自分らしく、自由な時間を大切にしながら、楽しく幸せに生きていきたいです。

自分らしさを大切に

 「ワーク」だけでなく「ライフ」全体を見て、自分らしい働き方を選んでほしいです。自分の長所を生かせる環境で働いているかどうかが大切だと思います。自閉症の息子は、得意な粘土で作品を作り、保育園で子どもたちに教える仕事をしていますが、それはまさに彼にとって望む場所であり、彼の長所を求められている環境だと思います。
 また、時には人に頼り、解決策は一つではなく無限にあることを忘れないでほしいです。私は「この人はこういうことができる」と長所を見つけるのが得意で、適材適所、その都度共感できる仲間とともに「プロジェクトチーム」を作りながら働くことが自分に合ったスタイルだと感じています。人それぞれに合ったチームがあり、それは一つではなく、ゼロから作ることもできると思います。そうして視野を広げることで、新たな可能性が生まれるはずです。

働く女性へのメッセージ

私のモットーは「遊ぶように働き、旅するように生きる」。
仕事はただの義務ではなく、ワクワクしながら夢中になれるもの。
遊ぶように働けば、努力は苦労ではなく楽しみに変わる。
人生は一度きり。
決まった道を歩くだけでなく、旅をするように生きよう。
新しい景色、新しい出会い、新しい自分を見つけながら、心の赴くままに進む。
自分らしい一歩を踏み出そう。

2024年12月取材