代表取締役 高野 和子さん
代表者 職名 |
代表取締役 高野 和子 | 事業内容 | 土木、とび・土工、舗装、水道、解体 |
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所在地 | 水戸市鯉淵町1199 | ||
業種 | 建設業 | 従業員数 | 14名 |
URL | https://www.koibuchi.co.jp/ |
約25年前、女性社員の産休をきっかけに、産休・育休後に復帰できるようにと、当時の女性の経理部長が育休等の制度を作ってくれました。当時、業界でも女性は少数であったことから、「自分よりも下の世代のために制度を整備しなければ」と考えたのだと思います。振り返ると、早くから働き方改革に取り組んでいたのだと思います。その時に産休育休を取得した女性社員は今、経理部長になっています。
また、事務職を増やし、休んでも穴を埋められる人員配置や業務分散を行いました。その結果、各々の仕事の開示もされ、休んでも誰かがフォローできるサポート体制ができ、それが工事部にも波及し社内のそれぞれの業務がよく見えるようになりました。業界の中でも、規模の割には女性が多い職場となっていると思いますし、女性が社内の業務にも大きく関わっているので女性なしでは成り立たないと感じています。
事務職の女性の完全週休二日制も約25年前から行っており、最初こそ「現場が働いているのに、事務所がやっていない」と不満を言われることもありましたが、いつの頃からかそれが「当たり前」となりました。
仕事は大事ですが、個人の生活も大切と考えています。とかく子育てや介護に関しては重きをおき有給休暇のほかに小学校以下のお子さんを持つ社員に子ども休暇を与え、柔軟な働き方での対応を認め、ときには子連れ出勤も可能にしています。
私自身の子育て経験から子育て中は親も一杯いっぱいで、でも仕事もしなくてはならない何ともいえないストレスを抱えます。休みにくさを自分も経験したことから休暇を取得することが本人の引け目にならないようにすることを心がけています。休みが増えると申し訳なさそうな社員には「いつか自分がしてもらったことを次の世代に返してあげて」と伝え、これからの世代が家族のことで気持ち良く休みを取得できる体制作りに取り組んでいます。
会社には若手も必要なことは勿論、熟練者の技術力やフォロー力も大きく、両方が必要な人材です。企業としてはどちらにも合った働き方改革が必要と考えています。
今後は子育て世代以外にも合った制度を構築し、もっと長期休暇もとれるようにしたいです。
東日本大震災の時、私たちの水戸市は大きな災害を被りました。社員はそれぞれの自宅も大変な被害を受けているのにも関わらず翌日から行政より要請があった災害の復旧作業にあたってくれました。コンビニも自販機も動いておらず水分を調達することすら困難な状況下でも社員達は文句ひとつ言わずに、復旧作業を行っていました。
その時、自社の社員のすごさを感じそれから私自身の現場を見る意識が変わり、社員を更に尊敬しました。「何もなかった土地にどうやってこれを作り上げたのか、補修するにはどうすることが必要なのか、もっと知識を得たい、もっと現場の話についていきたい」と思うようになり土木施工管理技士の国家資格に挑戦することを決心しました。
私が資格取得のための勉強をしたいと考えていた時にそのことを女性たちに話し、キャリアアップにもなるし一緒に勉強してみない?と声をかけたところ女性達が自分たちも是非にと即答で意欲的な答えをしてくれました。そこで、プライベートで勉強時間の確保が難しい女性のために業務時間内に資格取得の勉強時間を設けることにしました。会社で資格取得の勉強をしていると知識のある社員が教えてくれたりし、効率もよく、また工事部とのコミュニケーションもあがりました。
さらに、講習会も業務中に行けるように配慮し、試験費と交通費の支給も行い、資格に挑戦しやすい環境整備を行いました。これらは今ではどの会社も取り入れている取り組みでもあるかと思います。
部署を問わず資格取得をバックアップ、また他部署でも現場へ出させて経験を積むことを行った結果、女性の国家資格の保有者が増え、現在では多様な働き方をしてくれています。
中小企業は人材不足の問題もあり、採用にも苦労しています。在籍している人材の中でスキルアップを行って、各自の処理能力を高める取り組みをしました。また、現場を完成させた時などには報奨金を出して達成感を感じられるようにして定着率もあげています。
近年、女性活躍という言葉がよく聞かれるようになりました。ただ単に女性を登用することが女性活躍ではなく、本当に活躍させるのだったら、その女性に権限を与え、管理職にも登用し、意思決定できる立場にさせることが真の女性活躍に繋がるのではと考えています。弊社の現在の経理部長も、産休育休を2回経て復帰し、長い間切磋琢磨し、各部の業務を進行管理できる、なくてはならない存在となってくれました。彼女には一昨年、私が社長に就任すると同時に部長に就任してもらいました。現在も男性社員と遜色なく、きちんと意見を言い、社内外の業務に対応してもらっています。
この他に社内の女性たちには会議中には何かしら発言するよう伝えています。女性は意見を言わずに過ぎていくことが多くあると感じています。女性社員には、「自分の意見を持って発信していいんだよ」と言っています。
こういう小さな積み重ねから女性が良い意見を出しやすい環境や意識改革の体制を作りたいと考えています。
働き方改革というのは一律なものではないと思っており、業種や構成メンバーによっても必要な取り組みが違うと思います。
中小企業の良さとしてはその時期に所属する社員の状況を踏まえ、それに見合った働き方を柔軟に取り入れることが可能であるし、それが必要だと思います。「こう決めたからずっとこれで行きましょう」ではなく、それぞれの事情に応じ、求める必要な働き方にある程度柔軟に対応することができたら、それが結果的には会社の成長にもつながっていくと考えています。