働き方改革・女性活躍優良企業詳細

社会福祉法人 梅の里

理事長 髙松 秀彦さん

代表者
職名
理事長 髙松 秀彦 事業内容 障害者福祉事業
(入所施設、デイサービス、グループホーム、相談支援)
所在地 東茨城郡茨城町
小幡北山2766-36
業種 医療・福祉 従業員数 77名
URL https://umenosato-ainoie.org/

働きやすい職場環境づくりを目指してさまざまな取り組みを

 当法人は、「障害者の皆様へのサービス提供」を業務としています。そのため、職員が笑顔で働けるような、働きやすい職場環境をつくりたいと考え、働き方改革への取り組みを始めました。「職員が自分の職場環境に誇りを持てることが、結果として、利用者の皆様への、より良いサービス提供につながる」ものと思います。福祉業界は人が集まりにくい、と言われますが、現在、働いている職員が仕事を続けられる環境をつくるとともに、「福祉で働きたい、と皆様から選ばれる法人」を目指しています。
 職員が働きやすい職場にするために、10年程かけ、いろいろなことに取り組んできました。多様な働き方の実現のため、「短時間正社員制度の導入」や、「未就学児をもつ職員が柔軟に勤務時間を選択」できるようにするなど、「働く時間設定の柔軟化」に取り組みました。更に、新型コロナの感染拡大に伴い、「相談業務中心にリモートワークの環境を整備」しました。現在も、面談・訪問が予定されていない日には在宅勤務ができる体制です。
 子育てしやすい環境づくりにも力を入れ、「子どもの行事や配偶者の出産立ち合いのための特別有給休暇制度」を独自に導入しました。また、育児休業を取得する職員が復職に不安を持つことなく休めるように、「休業支援・復職支援プラン」を作成します。復帰するまでに、職員・管理職間で面接を定期的に実施し、復職後の働き方や配偶者の協力体制等について話し合いを重ねています。こうした取り組みにより、育休の取得率は女性が100%、男性が30%で、そして男性でも比較的長く、3か月以上休むケースも見受けられるようになりました。
 また、毎月開催される「労働衛生委員会」では、産業医を交え、職員の労働環境や健康管理をテーマとして取り組んでおり、「健康経営優良法人2019」を当時、茨城県内の社会福祉法人としては、初めて取得し、現在も継続しています。

職員の意見を反映し職場改善

 4年程前からは毎年、職員対象に、「労働環境等についての無記名アンケート」を実施しています。職員から出された意見に対しては、管理者側で回答を作成し、公表しています。当初、職員の意見は日々の不平不満が中心でした。理解はできるが実行は難しい提案等もありました。そのような提案に対しては、職員へ実行できない状況を具体的に伝え、丁寧なやり取りを継続することで、職員も少しずつ状況を理解してくれるようになりました。
 一方、改善可能な意見に関しては、できるだけ速やかに対応するように心掛けています。例えば、緊急時に職員個人の携帯電話を使用するのは負担、という意見があり、「1台の携帯電話に業務用の電話番号も設定し、業務用の電話番号の使用料は法人が負担」するように改善しました。各種手当の見直し等、新しい取組みにつながった事例は多々あります。
 アンケートは何度か実施するうちに、職員の意見も、当初とは随分異なったものとなり、建設的な意見が増えてきました。職員側でも、意見提案により状況は変えられる、少しずつ改善は可能である、と実感できているように思います。 ここまでたどり着くのは大変でしたが、アンケートが管理職・職員間のコミュニケーションツールになってきたのだと思います。

職員主体で働きやすい職場環境の実現に向け改善案を提案へ

 昨年4月には「働き方改革諮問委員会」を設置しました。働き方改革というと、トップダウンが多いのではと思われますが、この委員会では、職員が自分たちの働く環境に関して課題を見つけ、法令上、実現可能なものであるか予め検討し、改善案を提案するというものです。理事長の諮問機関として、位置付けられています。メンバーは20歳代から40歳代まで。年齢的なバランスや子育て中かどうか等を考慮し、人選しています。立候補した職員もいます。委員会にて議論された改善案は理事会に報告され、私たち経営層はその実現に向け検討していく次第です。
 改善策を提案するために労働関係の法令、制度等を勉強することにもなり、将来、管理職になっていくうえで、このような経験は職員にとってもプラスになるのではないかと考えています。

コミュニケーションツールを上手く活用して認識の違いを解消することが重要

 各種支援記録のデジタル化や勤怠管理システム等、人でなくても処理できる部分は、できるだけ情報機器を活用し、生産性向上を図りつつ、人にしかできないエリアに注力し、業務全般の品質アップに努めていきます。「福祉の世界は、人と人とのやり取りがメイン」です。この部分に最大限、注力可能となるように、「ITを活用して解決できること」については、どんどん取り入れていきたいと思います。
 経営側と職員では、認識にギャップがありますので、働き方改革において、経営側と職員間の認識を結び付け、より良い状況を実現するためには、「双方間のコミュニケーションが重要な役割」を果たします。当法人では「労働衛生委員会」、「働き方諮問委員会」というツールを活用してきましたが、何をツールに活用してコミュにケーションを図っていくかということが重要だと思います。

(2023年4月取材)