働き方改革・女性活躍優良企業詳細

海老根建設株式会社

代表取締役 柳瀬 香織さん

代表者
職名
代表取締役 柳瀬 香織 事業内容 総合建設業
所在地 大子町大子1835-2
業種 建設業 従業員数 24名
URL https://www.ebine.co.jp/

一人ひとりの状況に合わせた柔軟な働き方の推進

 働き方改革を始めたのは、建設業全体が非常に人材不足で、求人を出してもなかなか人が集まらないため、ほかの会社さんとの差別化を図るという意味で、弊社ではこのような働き方ができますとアピールして人材を確保することが目的でした。
 取り組みの中で社員に好評なのは、6、7年くらい前に導入した「子供休暇」です。これは、入学式、卒業式、授業参観など子どもに関連する行事がある場合に取得できる休暇になりますが、最近はご夫婦で出席されることも多いようですので、男性社員も積極的に子供休暇を取得して、家族との時間を大切にしています。
 あとは、社員も一人ひとり年齢や健康状態などが異なっていますので、働き続けられるようにそれぞれにあわせて勤務形態を調整しています。例えば、健康上の理由で出勤が難しい社員はフルリモート勤務で働いていますし、高齢の社員は寒い時期の1~2月を除いて勤務していましたが、さらに夕方も遅くなると目が見えづらくなり車の運転が危険だというので1時間早く上がるという形で勤務しています。
 働き方を柔軟にすることで、社員が継続して働いてくれることは、会社としてもありがたいことですし、いろいろな可能性があると思いました。

建設ディレクター導入により技術者の負担軽減

 2024年4月から建設業に時間外勤務の上限規制が適用されることから、弊社では1年前から「建設ディレクター制度」を導入しています。建設ディレクターとは、技術者の事務負担軽減を目的として、これまで技術者が担当していた工事書類作成などの業務を代わりに行い、オフィスから現場支援を行う新しい職域の社員のことです。
 導入にあたっては、1つの現場の始まりから竣工までの間の一連の業務を洗い出し、技術者でないとできない業務とそれ以外の業務に仕分けすることから始めました。通常の業務をこなしながら、この作業をするのはとても大変でしたが、実際に業務を洗い出してみたら、すごい数の業務を技術者が一人でやっていたことがわかりました。
 当初、現場の監督さんは、今まで自分がやってきた業務を建設ディレクターに分担することに抵抗がありましたが、実際にやってみて負担が軽減したことを実感できたと思います。
 弊社では、今年度から、建設ディレクター課を設け、現在4名の社員が建設ディレクターとして働いていますが、そのうち、課長を含め3名は女性です。課長は、フルリモート勤務をしながら、工事の管理担当課とディレクター課の間に入って調整や指示を行ってくれています。さらに建設ディレクターを増員するために、来年の4月から入社予定の女性も建設ディレクターとして育成したいと考えています。

建設ディレクターの皆様

業界全体で女性の活躍を目指して!

ひばり会活動の様子

 建設業協会の女性支部として「建女ひばり会」という組織があり、私は会長を務めています。この会の活動としては、女性が働いている環境をチェックしに現場をパトロールしたり、建設の仕事について子どもたちへの普及啓発などを行っています。
 最近は女性が働いている現場も増えてきていて、先日訪問した現場では、その現場で働く女性の職員の方が、動画投稿サイトに現場の様子や休憩時間の様子を投稿し、会社のPRにつなげるなど、男性のみの職場ではあまり見ないPR活動を行っていました。
 このように各現場で、女性の技術者が増えてきて、様々なPRをしてくれていることも影響していると思いますが、女性技術者を中心に構成されている「ひばり会」の会員は、令和元年の発足時から少しずつ増えてきています。今では、会員が130名を超え、少しずつ女性技術者が育ってきつつあることを実感しています。

働き方改革等を進める時は全員の方向性を合わせるなど準備が必要

 これからは、新たなデジタルツールを導入していきながら、そのツールを使える人材を育てていきたいと思います。今までは、土木施工管理技士等の資格を持っている方にしかできないと思っていた業務が多かったのですが、建設ディレクターを導入してみて、資格取得者ではなくとも事務処理ができることも分かってきました。また、リモートで働いている社員がいることで気が付いたのですが、会社にいなくても仕事はできるのだと感じましたので、今後は、資格の有無などにこだわらずに可能性を広げて求人していきたいと思います。
 働き方改革など新しいことを始めるときは、必ず抵抗があると思います。今までのやり方や今までの経験の上に成り立っている考え方を変えるのはとても大変なことですので、経営者及び社員全員が、考え方や方向性をそろえ、納得して進みだすことがすごく大事で、それによって、取組の進み方も全く違ってくると感じています。
 また、働き方改革は、社内だけで解決しようとするのは難しいのではないかと思います。経営者は、セミナーに参加したり、他社の取組事例など会社の外の人の話をきいたりしながら、いろいろな情報を収集し勉強することがとても大切です。
 働き方改革は、何かをやらなくてはいけないというように、あまり難しく考えず、今ある問題が解決できることが、改革だと思います。「今働いている人がどうしたら仕事がしやすいか」を考えることが、働き方改革につながるのではないでしょうか。
(2022年12月取材)