働き方改革・女性活躍優良企業詳細

社会福祉法人征峯会

理事長 渡辺 和成さん

代表者
職名
理事長 渡辺 和成 事業内容 茨城県筑西市を拠点に、障害者入所施設、特別養護老人ホーム、高齢者デイサービス、地域包括支援センター、障がい児者通所支援センターなどを運営しています。
所在地 筑西市上平塚590-1
業種 医療・福祉 従業員数 311名
URL https://seihoukai-group.jp/

過去の苦い経験が「働き方改革」に取り組むきっかけへ

理事長による経営方針発表会の様子

 当法人の職員は女性が多く在籍していますが、出産後に子どもを預ける場所が無く、仕事をやめなければならないという課題があり、その対策として、平成16年に「事業所内託児所」を導入したことが、働きやすい環境づくりの第一歩だったと思います。
 翌年、平成17年には市で運営していた特別養護老人ホームを当法人で引き受けて運営していくこととなりましたが、引き受けた施設は、当法人の働き方とは大きく異なっていて、自分たちの働き方が当たり前ではないとそこで気付かされました。
 その後、私が施設長になった年に、立て続けに10名程度職員の方が辞めてしまったことがあって、働きやすくない職場だったのかなと感じ反省しました。やはり残業が無く定時で帰れたり、有休もたくさん取れたりして、働きやすく、みんなが笑顔で働ける職場を作っていくことが必要だと思い、それが働き方改革に取り組んでいくきっかけとなりました。ただ、働き方の意識を変えることは難しく、特に長年当法人で働いてきたリーダーや施設長の意識を変えるのは苦労しましたが、経営理念、経営目標を伝えて、法人が向かっている方向に対して、共通認識を持ってもらったり、毎年少しずつ制度を充実させていったりと、改善をし続けたことによって、従業員の意識も少しずつ変わっていったように思います。

人事部の創設により採用者が大幅に増加

 採用と人材育成を強化するため、2年前に人事部を創設し、これまで各施設で行っていた採用や人材育成を人事部が一括して行う仕組みを作りました。そして、当法人の経営理念や取組などがきちんと伝わるように、事業紹介の動画の制作なども行いました。こうした人事部の取組により、これまでは3~4名程度だった新卒採用が今年は14名に増え、採用が難しい優秀な学生も採用できるようになりました。内定後も、人事担当が学生にオンラインで面談を行うなど安心して入社してもらえるようなサポートも行っています。
 また、毎月研修を実施するなど人材育成の仕組みづくりや、社内で各種制度等の情報を共有するWebサイトを今年度立ち上げ、職員全員で情報を共有できるようになりました。
 人事部導入前は、コストもかかるためためらっていましたが、本当に導入してよかったと感じています。現在、人事部は2名ですが、来年度は更に2名増員する予定です。

人事部の職員と理事長の打合せの様子

魅力あふれる職場づくりに向けてコツコツと

 当法人では、各施設の様々な階層の職員で構成される「魅力あふれる職場づくり委員会」を5年ほど前に設置しました。この委員会の取組として、会議の中で各施設が課題点を発表し、それに対して他施設から改善点等のアドバイスが得られる機会を設けていて、この会議の結果を各施設の責任者が集まる会議で共有することで、具体的な改善案の実施を本格的に検討しています。
 また、毎年全職員に対して「幸福度アンケート」実施していて、そのアンケート結果を踏まえて、様々な改善策を取り入れています。昨年度の改善点としては、コロナ対策として事業所が休業となった場合の職員の給与を100%保証することや、職員に必要な情報を伝えるため、私自身のメッセージをYoutubeで配信して、全職員が閲覧できるようにしたことなど、毎年少しずつですが、取組を進めています。
 これまでの取り組みの成果として、離職率は毎年減少してきており、昨年は7.6%(産業平均:14.2%)となっています。1年1年の改善項目は多くはないかもしれませんが、この取組を長く続けていけば、必ず大きな成果になると思いますし、職員一人ひとりが意見を言い易い風通しの良い職場環境が作れるようになると考えています。

経営理念「最高の笑顔をあなたに」を目指して

 これからも、現在実施している良い取組は継続していき、さらに良い取組があれば、それもどんどん取り入れてくことで、働きやすくなったり、もっと笑顔が増えたり、もっと幸せに働ける環境ができたりというように、毎年少しずつでも向上しながら、当法人の経営理念である「最高の笑顔をあなたに」を追い求めていきたいと思います。
 今後は、将来管理職になりたい職員や、現場のスペシャリストになりたい職員、今は家庭を優先して育児と仕事の両立をしたい職員など、キャリアに対しての考え方は職員一人ひとり異なるので、それぞれの意向をカルテのようにまとめて、エンゲージメント経営ができるように、取り組んでいきたいと考えています。
 これからの時代は、少子高齢化が進んできて働く人がなかなか集まらなくなり、もっと厳しい時代になってくると思います。でもやはり働きやすい良い職場には、良い人は来てくれると考えているので、働き方改革に取り組む経営者の皆さん、ぜひこれからもお互い良い職場を目指して、頑張っていきましょう。
(2022年11月取材)