働き方改革・女性活躍優良企業詳細

旭真空株式会社

代表取締役 大久保 功さん

代表者
職名
代表取締役 大久保 功 事業内容 表面処理加工(真空蒸着、カラー塗装・ハードコーティングによる加飾)
所在地 鉾田市紅葉693
業種 製造業 従業員数 35
URL https://asahi-shinku.co.jp/

自然体で実現した働き方改革と企業の自信

 働き方改革という言葉を、会社として特別に意識して取り組んできたわけではありません。会社の運営や日々の仕事の中で、品質の高い製品を作ることに加えて、労働時間の管理や有給休暇をきちんと取得するといったことを当然のこととして実践してきたことが、結果的に働き方改革につながるのかもしれません。
 当社は、全国の様々なメーカーからお仕事のお話をいただき、ホビーのバンダイナムコクラフトや自動車照明器の株式会社小糸製作所、電子・電気機械器具のキャノン電子株式会社など、様々な部品に金属膜やカラー塗装で加飾加工を行っておりますが、正直なところ、以前は、地方の町工場である自社に自信がありませんでした。そこで、企業価値向上のため、国や県の認定制度等を受けることにしました。まず初めに、厚生労働省のユースエール制度の認定を受けましたが、制度の定める残業時間削減や有給休暇取得の目標は、無理に努力しなくても達成できていました。このことが会社の自信にもつながっていますし、従業員の自信にもつながっていると思います

逆境を力に変えた技術継承と人材育成

 新型コロナウイルスが流行し仕事が激減してしまった時期は、時間も人手も余り3勤4休でも回るくらいのとても大変な状況でした。しかし、休みを増やせば従業員の給料が下がってしまいます。そこで、休みを増やすことはせず、勤務時間中の一部を改善や教育の時間に当てるという方針で、技術継承に取り組みました。
 これによって、社員はスキルを磨きながら、気持ちも保てたと思います。特に、当社で働く若い世代や女性の生活を守ることを大切にしてきたことにより、結果的に会社の底力になったと感じています。
 昔は「機械操作は男性の仕事だ」という考えもありましたが、今は性別にかかわらず全員にいろいろな作業を経験してもらい、できる仕事の幅を広げるようにしています。一方で、全員が全てを完璧にこなすのではなく、得意分野で力を発揮できるような人材育成も進めています。長所を伸ばすことで、組織全体の力が上がると感じています。

デジタル化と環境整備で築く柔軟な働き方

 職場環境の整備も重視しており、ここ数年は基幹システムの開発にも力を入れてきました。生産管理や品質管理、勤怠管理も含む統合システムを完全オーダーメイドで3年半かけて作っています。最初は社員も変化を怖がる声もありましたが、段階的に導入を進め、不満や不安を丁寧に聞きながら進めています。こうしたデジタル化は業務効率を上げるだけでなく、より柔軟な働き方の土台にもなっています。
 また、工場内の清掃を強化し、防塵設備の導入やお掃除ロボットも導入しました。こうした小さな積み重ねが、製品の品質向上に繋がり、快適な作業環境による社員のモチベーション向上にもつながっています。
 また、これまでの作業着に代わるオリジナルデザインのポロシャツを作り、新卒社員も含め社員全員が一体感を持って働けるようになりました。

女性の力が会社の活気を生む

 弊社は女性社員が約6割を占めています。それだけに女性の雇用形態や待遇改善にも力を入れており、コロナをきっかけにパートの方全員を正社員化しました。給与面でも物価上昇に合わせて技術手当や昇給を行い、個別面談を通じて女性の意見を聞きながら、不満の解消と意欲向上を促しています。
 結果として、女性社員の仕事に対する前向きな姿勢が、会社全体の活気を支えています。

支えるリーダーが生む良好な人間関係

 コミュニケーションの面では、私自身が社員の声を直接聞くようにしています。また管理職には「サーバントリーダーシップ」という考え方を伝えています。リーダーは引っ張るのではなく、むしろ社員の背中を押して支える役割だと思っています。
 こうした姿勢が職場の自主性と良好な人間関係を醸成し、働きやすい環境の礎になっています。

日々の積み重ねで築く働きやすい職場

 私たちは働き方改革を特別な施策と捉えるのではなく、経営環境の変化に対応しながら、社員全員が働きやすい環境づくりを、日々の取組の積み重ねで実現していくものだと思います。環境や制度、技術の面で進化しつつも、社内の人間関係や雰囲気を大切にして、笑顔があふれ感謝し合える職場をつくっていきたいと思っています。
2025年10月取材