働き方改革・女性活躍優良企業詳細

社会福祉法人仁心会

理事長 丹野 大さん

代表者
職名
理事長 丹野 大 事業内容 特別養護老人ホーム運営
所在地 水戸市酒門町1177番地3
業種 医療・福祉 従業員数 123名
URL https://swc-jinshinkai.com/

職員の声を聞きながら働き方改革を推進

 当法人は令和元年度に開所した特別養護老人ホームで、開所時より『働きやすいシステム』の導入から始まり、一気通貫で連携できるタブレットやクラウド型のソフトウェア等の選定を行い、ICT化に取り組んできました。
 しかし、それだけでは介護職員の人手不足を補えず、派遣会社を利用しての増員に頼らざるを得ない状況となったため、令和3年頃から施設長と事務課長が中心となって、更なる働き方改革に着手しました。
 取組を進めるためには、とにかく現場の声を聞き、ボトムアップで進めていくことを一番大切にしています。トップダウンが必要な部分もあるけれど、それだけでなく、部下の意見をよく聞くことで、チームはまとまっていくのです。これは大学病院に勤めていた時代、救急救命チームにおける経験から感じていたことです。

希望選択制の週休3日制度と有給取得の推進で休みやすく

 特色のある働き方としては、週休3日制度を導入しております。
 当法人では夜勤を8時間にしていましたが、職員にアンケートを取って要望を聞き取ると、夜勤明けの朝から休日としてカウントされてしまうため、丸一日のまとまった休みがなかなか取れないという声がありました。
 そこで夜勤時間を2時間増やす代わりに、週休を3日に増やすことを考えました。茨城県では週休3日制を導入している施設の例が無かったので、他県の事例等を学び、最終的には希望選択制での導入となりました。希望しない人には無理に選択させず、選びたい人がやるという形でしたが、徐々に週休3日制を希望する人が増え、制度の浸透を実感しています。
 一方、週休3日制を採用すると、職員同士が顔を合わせる時間が減るという問題も出てきました。職員が輪になるようにコミュニケーションを取れることも、働く上でとても重要なことです。
 現在はチャットやカレンダーツールにより業務連絡・情報共有を進めることと、意識して対面できるタイミングで声をかけるなどデジタルとアナログのハイブリットにより、業務の円滑な引継ぎや、コミュニケーションの活発化を図っています。
 また、当法人としては年間の有給取得率を80%ぐらいまで増やしたいと考えており、シフトを組む段階でどんどん休みを入れてもらうようにしています。今のところ、70%ぐらいまで取得率が増えてきました。
 こうした取組の結果、離職率が減ったと実感しています。以前は常に派遣を受け入れていましたが、今はそれがなくても運営できています。

未経験から、子育てをしながらでも専門職のリーダーに

 また、育児と仕事を両立しながらのキャリアアップ支援にも力を入れています。
施設開設当初に未経験で採用となった職員も、子育てしながら国家資格を取得し、現在は介護チームでリーダーとして活躍しています。
 (社福)茨城県社会福祉協議会で実施している『ふくし”きらり人。“』にも任命され、現在はハローワークさんとも連携しながら、子育て中の求職者の方向けに、こういう働き方がありますよ、とご紹介していきたいと考えています。
 ほかにも、正社員でも平日のみのシフトでリーダーとして働く方や、出産を控え短時間正社員として働く方など、それぞれのライフステージに合わせた働き方を実現しています。
 新しい機器の取入れも引き続きやっていますが、新しいものはどうしても職員さんも最初は抵抗がある。その時は現場の相談員やリーダーが丁寧に教えてあげたり、フォローに回ったりしてくれています。

働き方改革からダイバーシティへ

 最近は外国人の採用も増えており、働き方改革と並行して、ダイバーシティの推進も進めています。外国籍の職員に仕事を教えることで、職員の教える力が高まるという効果もあります。
 シニア採用も実施しており、例としては、施設長を退職された方が、今はアドバイザーとして現場で継続して働いております。
 今後は働き方改革を進めた上で、実力がある人を性別にかかわらず役職に上げていくことを進めたいと思っています。役職に就いた女性たちが、女性リーダーがなかなか増えないといった環境を変えていくことを期待しています。

○今後の展望 地域の連携と「働きたい」改革 

 地域における医療、介護と福祉の連携に更に取り組んでまいります。
 そのためには、人材が不足する中、職員一人ひとりの働き方に合わせた働きやすい職場づくりに向けて、企業も動いていく必要があります。
 企業自身が常に内外の情報を取得し、取り組む必要があるものを取捨選択し、職員に向けて発信していくことが大切だと思います。
 職員のモチベーションを高める「働きたい」改革を、今後も推進してまいります。
(2025年2月取材)